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外気温度-71℃ [航空関係]

-400の燃料搭載量は最大で約38万ポンド、21万8千リッター(ドラム缶1090本分)にもなりますが、これだけの燃料を何処に積んでいるのでしょう?答えは殆ど主翼の中に積んでいる、が正解です。
一部胴体内と尾翼にも積んでいますが、主翼に積む理由は、翼内の無駄?なスペースの有効利用という事もあるでしょうが、主翼が発生する揚力を燃料の重みで打ち消して、主翼の付け根に掛かる荷重を減らすと言う目的もあります。重いエンジンを主力に吊しているのも同じ理由によるものです。
飛行機は体操選手が十字懸垂をしているのと同じ状態で飛んでいますので、胴体が重ければ、主翼の付け根に掛かる荷重も大きくなる訳です。十字懸垂をしている時に背中に色々な荷物を背負わされたら、体操選手もたまりませんよね (笑)

以前はビッカースVC10やダグラスDC-9のように胴体にエンジンを付けた機体もありましたが、現在は主翼にエンジンを吊すタイプが主流となっています。これは主翼の空気力学特性と柔軟性にエンジンの重量がどのような影響を与え、調和するのか?と言った、空力弾性翼の理論が確立し、主翼に吊す優位性が高まったからだと聞いた事があります。

その主翼内に搭載した燃料、外気温の影響は受けないのでしょうか?あんな薄べったい主翼内にある訳ですから、外気温の影響をとうぜん受けて、どんどん冷やされていきます。えっ、それじゃ~燃料が凍ってエンジンへ流れなくなり、エンジンが止まってしまわないか!?ハイ、大丈夫なんですよ。では何故に大丈夫なのか?

ヨーロッパへの直行便は全てシベリア上空を通過しますが、この路線は夏場の一時期を除きますと積乱雲の発生も少なく、気流も比較的安定していますので、旅客機の運航には最適な路線なのですが、冬場のこの時期、1万メーター上空の外気温が-70℃以下にまで低下する事もあります。
旅客機の燃料にはケロシンと呼ばれる灯油系の液体燃料が使われていますので、液体である以上、低温になれば当然凍結して固体となります。
離陸前は地上気温に近かった燃料の温度も、1万メーターの上空では冷たい外気に冷やされて、どんどんと低下して行き、数時間も飛行すれば外気温とほぼ等しくなるはずです。そして燃料が凍結する温度は燃料の種類によっても違いますが、日本やヨーロッパで使用されている燃料の場合、約-46℃となっています。それじゃ~やばいじゃないですか!
でも燃料が凍りついて飛行機が墜落したと言う話はあまり聞いた事がありませんね。

凍りつかない理由は、高速で飛行する飛行機の機体表面に作用する温度は、その時の外気温 SAT ではなく、TAT(Total Air Temperature )だから、と言う事になります。TAT とは高速で飛行する機体に当たった空気が断熱圧縮されて昇温したもので、巡航速度マック0.85で飛行している場合は、SAT から約 30℃も上昇してしまうのです。

今回のヨーロッパ線でも高度1万6百メーター(FL348)を巡航している時に、外気温度が-71℃まで低下し、燃料温度も TAT とほぼ同じ-41℃まで低下してしまいましたので、ヨーロッパの RVSM(Reduced Vertical Separation Minima )空域では、巡航していた
FL360から FL340まで降下し、更にマック0.87まで増速して TAT の昇温に努めました。
マック0.02の増加で、燃料温度は約1.5℃上昇します。

燃料の凍結温度-46℃は公称値であって、実際の凍結温度は更に5℃程度低い-51℃ぐらいになるのですが、会社は公称値+3℃の-43℃を運用上の限界値としておりますので、我々パイロットはそれを厳守する必要があるのです。


コメント(2) 
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コメント 2

KingAir350

こんばんは、以前から知りたいことのひとつでした。

胴体ではなく主翼にエンジンを吊るしたほうが空気力学的にもいいですしね、何しろこのほうがジェット機は翼を思いっきり大きく広げたように見えて美しく見えますよね。

マッハ0.85という高速でクルージング中のジェット機の胴体周辺ではプラスで30度も上昇するのですね。。これはすごいですね。

ということはコックピットのエンジン計器の部分に表示される外気温はTATではなくSATということなのでしょうか??
by KingAir350 (2008-01-17 20:51) 

JS

FUEL TEMPは ope manual でもシビアな部分でしょうね。たとえばengine start limitなど。。。engineに入る部分ではheaterで温まると思いますが、それまでのlineでの凍結(Δpでセンシングしているとはいえ)を考えると怖いものがありますね。cookpitには無駄なindicatorは無いのですね。

翼根荷重のcotrolは永遠の課題だと思います。柔軟すぎてもだめ、硬すぎてもだめ、、、。。。将来 ケロシンに代わり、太陽電池技術が飛躍的に発展して翼上面にパネルを埋め込み発電し、強力に増幅しturbineを回転させる・・・・そんな技術が出てこない限り解決しないでしょうね。。。。

あっ、でもbird strikeされ、brokenしたら発電できないですね・・・。(笑)
by JS (2008-01-18 08:52) 

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