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羽田のレーダーを新しくする? [航空関係]

先日の霧の影響で多数の欠航便が出たようですね。

それに関連するニュースとして、「羽田のレーダーを新しくして、今回のような欠航が出ないようにする」 との報道がありました。フジテレビのスピークでの事でしたが、管制用レーダーの性能と着陸気象条件とは関係ないはずですがね~
よくよく聞いてみますと、「羽田の ILS を CATⅡ から CAT Ⅲ に更新する」 との事だったようです。
「ILS と言うレーダー」 などと訳の分からない事を言っておりましたが、局内には航空関係に詳しい人間もいるだろうに、チェック体制がお粗末ですね。

羽田の天候が、CAT Ⅱ の最低気象条件である RVR 350m 未満になるのは、数年に一度あるかどうかの確率でしょうが、日本最大のハブ空港となる予定の羽田ですので、CAT Ⅲ は必須と言う事なのでしょう。
ただし、現在 CATⅡ を行う事ができる唯一の滑走路、34R 1本を CAT Ⅲ に更新したとしても、通常より管制間隔を大きく取る必要(10マイル)が生じる事もあり、1時間あたりに着陸できる便数は15便程度になると思われますので、多数の欠航便が出る事は避けられないでしょう。
4本目の滑走路が運用を開始する10月以降の着陸回数は、ピーク時には1時間あたり40便を予定しています。

CAT Ⅲ では RVR 100m まで着陸可能となりますが、パイロットが滑走路を視認しないまま着陸する事になりますので、オート・ランドが必須となり、自動着陸装置の故障率は10億分の1と言う高い信頼性が要求されています。
なお、RVR 0m でも着陸可能なのですが、着陸後の地上滑走の問題、緊急時の救援活動への影響などを考慮して、100m を下限としています。

CAT Ⅲによる着陸を行う場合、先行機との管制間隔を大きく取る理由は、下図に示すクリティカル・エリア / センシティブ・エリアを先行着陸機が出た後でないと、後続機が CAT Ⅲ による着陸を行う事ができないからなのです。
blogcriticalareanegasmall.gif
では、どうやってその事を確認するのか?視程が 100m 程度しかない訳ですから、管制塔から確認する事はできません。そこで、

ATC :Report Out of ILS Critical Area .

との指示が管制塔から来る訳ですが、ではパイロットは低視程の中、どうやってエリアから出た事を確認するのか?

blogoutofcriticalarea.gif

CAT Ⅲ で使用できる誘導路(使用できる誘導路は限定されています)の中心線灯は、図のように緑と黄色の交互点灯となっておりますので、その灯火が通常の緑のみに見える位置に操縦席が来た時が、クリティカル・エリアをクリアーした事を通報する位置となります。

blogfoghotel.jpg

広島空港の ILS 10 では、CAT Ⅰ/ CAT Ⅲ を行う事ができるのですが、CAT Ⅱ を行うことはできません、その訳とは?正解者には広島産の生牡蠣を進呈。と言うのは冗談です。
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kakashi

あの発言じゃ、羽田の全滑走路をILSのCATⅢにするように誤解しますよね。滑走路だけじゃなく、飛行機側もCATⅢに対応が必要なのでは?
また、風向きによっては16Lとか22,23になるんでしょ。16LにILSアプローチは無理でしょ。
by kakashi (2010-02-27 13:16) 

ぱんみゅ

空港自体が山の中にある広島空港は
DHの高さが、何かの高度制限にひっかかるのでしょうか?

それにしてもマスコミっていい加減ですねぇ・・・
普通の人にわかりやすければ、間違ってても良いのでしょうか・・・
by ぱんみゅ (2010-02-27 20:28) 

電波男

ILSの設置担当の経験があるものです。いつも拝見させていただいております。
CAT-Ⅱでは、電波高度計を使用したDH設定を行っていますので、広島や釧路のような盛土空港では、DH付近で急激に電波高度計の指示値が減少するため、DHのタイミングを図ることができません。CAT-Ⅱが設定されている青森、熊本でもDH100ftの位置では設定できず、少し離れた位置にDHが設定されています。これもやや地形が影響している訳です。
FAAには確か4空港くらいIM(インナーマーカー)を使用したCAT-Ⅱが設定されているようですが、JCABでは電波高度計を使用したCAT-Ⅱの設定を行っています。
by 電波男 (2010-02-27 21:14) 

トメ

FDさんこんにちは。
広島空港では盛土ゆえに電波高度計の指示値が接地帯標高からの高度にならないからなんですかね?DHがわからなくなってしまう!
CATⅢ対応の人口地盤、すごいですね。空母の飛行甲板みたい!もっと長く延長したらCATⅡも可能なんですかね~。(お金がムダですけど…)

具体的にCATⅠ、Ⅱ、Ⅲの地上側設備で何が違うんでしょうか。誘導精度が変わるんでしょうか?それとも、滑走路の視認性やタキシング時の管制能力?援助体制などのソフト面?

数年に一度の濃霧のために多額の投資を行っても、全ての航空機が着陸できるとは限りませんよね。今回の問題が発生せずに、羽田空港CATⅢ化工事を行ったら、マスコミからの批判対象工事ですね。
by トメ (2010-02-28 16:14) 

FD

詳しい解説、ありがとうございました。
日本でも羽田、成田、関空、熊本などにはIMが設置されていますが、運用に影響する事はありません。

将来は、GPS+補完装置により、サークリングでもCAT Ⅲ並のアプローチが可能になるかも知れません。
一時有力視された、MLS(Micro-wave Landing System)は頓挫してしまったようですね。-400のCDUにはMLSの項目があるのですが。

昔はCAT Ⅲを行える飛行機が少なかったので、天候が悪化して着陸機数が制限されたとしても、それなりに運用できたでしょうが、これからはもめる?事になるかも知れません。
燃料を沢山積んでいた飛行機が勝ちですね。沢山積める-400が有利か?

CAT ⅡとCAT Ⅲの地上施設の違い。
誘導範囲、グライド・スロープは共に滑走路末端までですが、ローカライザーは、CAT Ⅱは末端まで、CAT Ⅲは着陸滑走までとなっています。
滑走路末端以降は、グライド・スロープではなく、電波高度計によって引き起こしのタイミングを計る事になります。

精度ですが、滑走路末端でのコースからのズレは、
ローカライザー:CAT Ⅱ、7.5m以内。CAT Ⅲ、3m以内。
グライド・スロープ:CAT Ⅱ、0.225度以内。CAT Ⅲ、0.12度以内となっております。

飛行場灯火類は、CAT ⅡとCAT Ⅲは殆ど一緒で、CAT Ⅰに比べると高い視認性が要求されています。
by FD (2010-03-01 11:30) 

トメ

カテゴリーの違いで、誘導精度に差があるとは思っていませんでした。

CATⅡのローカライザーが滑走路末端までとは?最終着陸や着陸滑走はパイロットの目視になってしまうのでしょうか?
いままで、CATⅠでもⅡでもオートランディングができるものと信じていたのですが…
by トメ (2010-03-01 14:35) 

FD

ローカライザーの電波が滑走路末端で突然途切れる訳ではなく、「保証されていないだけ」 とご理解下さい。

CAT Ⅰ、Ⅱ共にオート・ランドが可能ですし、社内規程により、CAT Ⅱではオート・ランドが必須となっております。

CATⅠ、Ⅱではパイロットが滑走路を視認していますので、飛行機がおかしな動きをした場合には、ただちにマニュアル操縦に切り替えてやればよいのです。
ですから、オート・ランドを行っている時でも、操縦桿とスラスト・レバーに手を添えて、いつでもテイク・オーバーできるよう身構えております。
by FD (2010-03-01 15:24) 

すちゃらか公務員

羽田のILS騒動。
もしかすると大臣の暴走(?)発言も手伝っているかもしれません。
(大臣の発言内容をそのまま報道しないと、後日大臣会見で槍玉に挙がるから?→2/16の騒動が引きずっているかも・・・)
多分、考えすぎですけど。

数年に一度の気象条件のための博打、違った投資的施設更新。
お得意の『事業仕分け』で判断(言い訳)が楽しみです。
真の『ハブ化』のためには05や16LにもILSを入れる必要があるかもしれません。(数年に一度かもしれませんが)
by すちゃらか公務員 (2010-03-01 23:16) 

FD

霧が発生して視程が2~300mになるような時は、弱い風しか吹きませんので、34以外の滑走路をCAT Ⅱ・Ⅲにする意味はないと思われます。

ただし現在は、10ノット以下の南風の時、34L/Rのテール・ウインド・オペレーションを行う場合が多いのですが、国際線が増えてきますと、難しくなるでしょうね。
3千メーターの滑走路からテール・ウインドで離陸するのは厳しい!
離陸に16L/Rを使いますと、当然22/23の着陸が多くなりますね。
by FD (2010-03-02 15:44) 

すちゃらか公務員

FDキャプテン、詳しい解説ありがとうございます。
霧で視程が悪い時は確かに弱い風、成田でもCATⅡ・Ⅲは16Rだけですね。

以前『オープンスカイ』の際に羽田から長距離国際線の離陸重量を計算していましたが、猛暑日にテール・ウインド・オペレーションとなると厳しそうですね。
こうなると羽田にはCATⅢよりも、(空母)カタパルトが先ですね・・・・・・・笑
カタパルトは論外ですが、「CATⅢ」と「滑走路延伸」どちらが優先事項でしょうか。
別名「数年に一度」vs「漁業補償&千葉県の猛反対」。
ハブ化に向けて、避けては通れない問題です。
by すちゃらか公務員 (2010-03-02 23:00) 

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