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羽田空港新滑走路 05/23 [航空関係]

羽田空港4本目の滑走路となる05/23が、10月から運用開始となりますが、騒音問題が絡んでいた事もあり、計画段階から紆余曲折があったようですね。

地元浦安市の要望は、04R/22Lの予定だった新滑走路の方向を、時計回りに10度だけ振る事だったらしいのですが、浮島地区にある2基の換気塔が障害物となる事が分かり、最終案は7.5度で決着。

bloghanedarwy05apchsurfacef.gif
これ以上時計回りに振ると、上図の青色で示した首都高換気塔が滑走路の進入表面(ピンクで囲んだ部分)にかかってしまうので、7.5度が限界だったとの事。
首都高換気塔の高さは、AIPによれば156フィート(47.5m)であり、川崎市の大気汚染・公害問題を踏まえて決定した高さとなっていたため、これを切り下げることは困難である。
一方、赤色で示した浮島換気塔は、換気塔本体にかぶさるピラミッド型の装飾を改修し、高さを抑えることで対応できる。同じくAIPによれば、158フィート(48m)の高さがあるが、12m切り下げて36mまで低くできる。

浮島換気塔は着陸帯の末端から約1,050mの位置にあるので、進入表面の勾配50:1(2%)の線を引くと、換気塔の位置での進入表面の高さは21mとなる。それに15mを足し、計36mでドンピシャリ。

「うん?勝手に15m足したりして、インチキじゃないか」 と仰いますか。
新しい滑走路05/23は、滑走路23の進入コース下を通過する船舶の高さを考慮して、航空母艦のように高く造ってあるのだそうです。
桟橋部分の05側は15m、盛り土部分の23側は何と!17.1mもあるんですって。でも、地盤沈下したらどうなる?

私が一番心配していた、「05を着陸に使えないのでは」 との懸念は払拭できたのですが、更に欲を言わせてもらうなら、GPSアプローチを設定してくれると助かります。

しかし、23ILSは、2度のオフセットになるらしい。
騒音問題を解決しなければならない事は分かるのですが、最後はやっぱりパイロットに負担を強いる事で一件落着となる訳ですね。パイロットは皆、真っ直ぐ降りたいんですがね~

飛行方式設定基準には、

騒音軽減の手段としてローカライザーをオフセットしてはならない

との記載があるんですが・・・・・

不満ばかりを言っていても進歩がありませんので、騒音問題を解決し、なおかつILSをオフセットとしない方法はあるのか?検証してみる事にします。
まず、ILSコースにレーダー誘導する場合、アプローチ・ゲイトが重要になってきます。
最終進入コース上において滑走路進入端から5海里の点又は最終進入フィックスから飛行場の反対方向へ1海里の点のいずれかかのうち滑走路から遠いものをいう。
と定義されていますので、アプローチ・ゲイトの位置は滑走路から5マイル以内には設定できません。

と言う事で、アプローチ・ゲイトの位置を5マイルに取るとしますと、次に考えなければならない点は、最終進入コースへの誘導にかかわる基準です。
観測された雲高の値に飛行場の標高を加えた値が会合地点の最低誘導高度よりも500フィート以上高く、かつ、地上視程が5キロメートル以上ある場合は、アプローチ・ゲイト以遠で会合させる。
と規定されていますが、Rwy 23へILSアプローチを行うのは悪天候の場合のみとなりますので、この規定は当てはまりません。そこで次の基準、
観測された雲高の値に飛行場の標高を加えた値又は地上視程が上記以外である場合は、アプローチ・ゲイトから2海里以遠で会合させる。
が適用される事になります。

と言う事は、ILSへの会合地点は、滑走路から少なくとも7マイル以上でなければならない事になります。う~ん、苦しいかな?そこでさっそく作図してみますと、

bloghanedarwy23ilsonset.gif
もう一つの基準、『最終進入コースへの会合角』 には、
到着機を最終進入コースに会合させるための航跡の最大会合角は、会合地点がアプローチ・ゲイトから2海里未満の場合は20度、2海里以遠の場合は30度とする。
となっておりますので、上図の黄色線のような航跡となり、陸地上空は避ける事ができるのですが・・・
赤線は原案である22L ILSのコース。

ファイナル・アプローチ・フィックスでILSのGPをキャプチャーするとしますと、その高度は1,200フィート。
その高度で陸地ギリギリを通過していく、しかもレベル・フライトで。確かに苦しい。

しかし、諦めるのはまだ早い?
関空のRwy 24L ILSも、狭い大阪湾内を急角度で旋回し、神戸空港の空域や市街地上空を避けながら着陸します。GPをキャプチャーする高度も1,200フィート。
同じような方式のILSアプローチを設定すれば、直線進入が可能になるかも知れません。
ただし、関空のこのアプローチ、FMS非装備機では大忙しのアプローチとなってしまうのですが、FMSがあれば楽勝です。


コメント欄にオフセットILSに関するご質問がありましたので、図解しますと、

blogrjtt23ilsoffset.gif
通常のILSコース(緑線)は滑走路に正対していますので、滑走路視認後も、そのまま真っ直ぐ着陸する事ができますし、オート・ランドも可能になります。

一方のオフセットILS(赤線)の場合、ローカライザーのアンテナが滑走路脇に設置されていますので、
滑走路を視認後、左へ2度だけひねり込む必要がありますし、オート・ランドを行う事もできません。
オート・パイロットに任せたままにしておきますと、飛行機はそのまま滑走路を横切って、芝生の上を走る事になってしまうでしょう。
航空機が決心高度である383フィートに達するのは滑走路末端から約1700メーターの位置、ローカライザー中心線と滑走路中心線が交わるのは滑走路末端から1228メーターの位置となります。

たった2度じゃないかと言わないで下さいね、飛行機の1度は大きいのです。ILSの降下角だって、
たったの3度なのですから。
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トメ

FDさんこんにちは。

先日、川崎の浮島に行ってきました。34Lに着陸する飛行機を見ながら、沖に建造されている巨大な滑走路を見てきました。新滑走路の角度は理解していたつもりなのですが、あまりにも大きいので構造物がどういう方向にどのように広がっているのかを理解できませんでした。近くで見ると大きいですね~!

ILSが2度のオフセットとのこと。
ということは、最後まで電波に乗って着陸することが出来ないということですよね。ということは、オートランドは無理なんですかね?
いずれにしても、着陸間際に滑走路に正対させる操作が増えるわけですね…。
騒音問題もわかるのですが、多額の投資をしてつくる物じゃないですか。予め使いやすく、安全な設計が出来ないものでしょうか?地元の方々にも協力を仰ぐ努力は足りていたのかな?国の宝ですよ!!!
素人考えでは、04R/22Lを造った方が運用上の制約が少なくなるような気がするのですがどうなんでしょうか?
by トメ (2010-02-16 09:22) 

トメ

FD様、詳しい解説をありがとうございます。
天気の悪いときに用いられる23ILS。進入腹行点ぎりぎりで滑走路視認の場合には、より苦しそうですね~
ILSに頼らない精密進入(もどき)が欲しいですね。GPS+αでピタリ正面滑走路。VNAVを使用した連続降下に、市街地を避けたコース取りで騒音問題もクリア。いずれそんな時代もくるのでしょうかね?。
by トメ (2010-02-16 16:03) 

すちゃらか公務員

詳しい解説、ありがとうございます。
関空ILS24L(CATⅡ)を参考に、素人考えで羽田ILS23に当てはめて考えて見ますと、TDL沖からの直線進入も十分可能に見えます。(素人評価ですが)
TDLへの配慮でしょうか。
ちなみにILS23運用時、離陸はどれを使うのでしょうか。(まさか22?)
by すちゃらか公務員 (2010-02-16 21:28) 

FD

4本目の滑走路運用開始後は、

北風運用
離陸 : 05-28便/時 34R-12便/時
着陸 : 34L-28便/時 34R-12便/時

南風運用
離陸 : 16R-22便/時 16L-18便/時
着陸 : 22-28便/時 23-12便/時

を計画しているようです。ピーク時、1時間あたり40便。
そして、北風好天時の着陸は、34L/34R共にCVA(Charted Visual Approach)を実施する予定だそうです。
CVAとはビジュアル・アプローチではあるのですが、チャートで決められたコースを正確に飛ぶ事を要求される進入方式です。

また、南風好天時は、22/23へのLDAを行う事になります。

川崎コンビナート上空は大型機飛行禁止(ハミングバード・デパーチャーを除く)となっておりますので、22からの離陸、04への着陸を行う事はありません。
by FD (2010-02-17 20:37) 

kingair350

こんばんは、羽田空港にさらにもうひとつ5本目の新滑走路をつくるそうで
検討するらしいとネットで知りましたが、そうなったら・・・・

現在のRWY34L/16Rはそのままとなり現在のRWY34R/16LはRWY34C/16Cとなり新しくできる5本目の新滑走路はRWY34R/16Lと
なるのでしょうかね?

しかしその新滑走路は現在のRWY34R/16Lの沖合いに作るそうです
そしたらですが、その新滑走路からの離陸も相当タイトな上昇経路を
たどることになりませんでしょうか?
素人考えですが・・・


また別の話題なんですが、失礼します。
昨日LIVEATCのサイトにあるEHAMのATCを自宅で聞いていました。
そしたらコールサインが航空会社の便名の数字のあとにアルファベットが
ついて呼ばれていました。これはどういうことでしょうか?

通常コールサインは例えばECO255などの形式ですが、昨日聞いたのは
ECO255YYというようにATCで聞こえました。その航空会社は誰でも知っているEU域内の航空会社ですが・・・ あえてここでは航空会社の名前は伏せておきました。よろしければ便名のあとにYYなどとアルファベットが着く理由などご存知でしたら教えていただけませんでしょうか? ネットでも検索して調べてみたのですが、どうしても分からなくてよろしくお願いします。

by kingair350 (2010-02-17 23:47) 

kakashi

23Lへの着陸と16R/Lの離陸では23Lのゴーアラウンドでは危険は無いのですか?
16Lへの着陸はやはり難易度は高いのでしょうか?
by kakashi (2010-02-18 00:07) 

FD

コール・サインの後にYYが付いていた理由は分かりませんが、日本では類似便名対策として、コール・サインの後にアルファベットを付ける場合があります。
例えば、225と255の便名は似ていますので、同じ時間帯に飛んでいますと、225に対して出された管制指示を255への管制指示と勘違いする可能性があります。
そこで、225便の便名の後にA(アルファ)を付けて、ECO225Aとする訳です。
また、国際線で大幅ディレイとなり、出発が翌日となってしまったような場合、同じ日に同じ便名の飛行機が飛ぶ事になりますので、001D(デルタ)として区別する場合もあります。

ひとつ訂正させていただきますと、23Lではなく、ただの23です。22はありますが、23Rはありませんので。
16R/Lからの離陸機と、23への着陸機、当然必要な管制間隔を取る事になると思います。
23への着陸機はピーク時で1時間に12便ですので、等間隔に着陸してきたと仮定しますと、5分に1機の割合になります。
その着陸機の間隔をぬって、16R/Lからの出発機を離陸させる事になるでしょう。
その為には、離陸許可が出たら遅滞なく離陸を開始する必要があります。前にも書いた事ですが、離陸許可が出た時、モタモタしていて滑走路に正対できていない飛行機をけっこう見かけますので。

16Lへの着陸、難易度と言うほどの事はありませんが、ILSでの直線的な着陸に比べますと、やや難しいでしょうね。
by FD (2010-02-18 15:43) 

すちゃらか公務員

FD様、丁寧な解説ありがとうございます。
運用(案)を見ますと結構厳しい気がしますが、海外(ORDなど)と比べるとまだまだ序の口でしょうか。

環境基本法にある「環境基準(人の健康や生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準)」ですが、航空機騒音については平成25年度から従来の評価手法(WECPNL)から国際的な評価手法(Lden)に変わります。
実際には環境基準を遵守しても苦情(裁判)はありますし、航空機(エンジン)も以前と比べて騒音レベルは大幅に低減しましたが、これ以上は厳しいのが現実。
空域問題も解決しないのに『ハブ化』、いやはや・・・・・
by すちゃらか公務員 (2010-02-18 21:38) 

qchan1531

はじめまして。
飛行機と飛行写真撮影が好きな川崎のqchan1531と申します。
カマックのコース近隣に住み、今も上昇する飛行機の音が
耳に聞こえています。
05/23アプローチのことや、CatIIIで地上でどうやって
安全なコースにぬけたことがわかるのかなど、図や画で詳細に
説明されており、非常に興味深く拝見させていただきました。
川崎市民としては、あの排気塔の三角が削られたのは少し、寂しいです。(笑)
16Lでの747の美しいアプローチをこよなく愛し、
下手なシャッターをきっていますが、
今後の3月11日以降のLDAのこと、05/23運用のことなど
写真を撮る身としても興味は尽きないところです。
by qchan1531 (2010-03-07 20:06) 

FD

飛行方式設定基準にはオフセットILSに関するこんな記述があります。
以下のようなやむをえない理由によりローカライザーを滑走路中心線にアラインさせることが物理的に不可能となる場合にあっては、オフセット・ローカライザーによるILS進入方式を設定する事ができる。

・ ローカライザー施設を設置する土地を確保できない場合。(那覇空港が相当)
・ 又は飛行場内の建設作業等のため、一時的にオフセットさせなければならない場合。

騒音軽減の手段としてローカライザーをオフセットしてはならない。

自分で決めた事を自分で破っていたのでは世話ないわ。
by FD (2010-03-11 21:49) 

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