So-net無料ブログ作成

モールス信号 [雑学]

私がまだパイロット訓練生だった頃、アルファベットのモールス信号26文字全部を覚えさせられました。
と言いますのも、航法のために必要な航空保安無線施設をチューニングする際、間違った無線局がチューニングされていない事を、無線局が識別のために発信するモールス信号で確認する必要があったからなのです。

例えば中長波帯を使用するNDB。飛行機に装備されたADFで無線局の電波を受信し、無線局の方角を知る訳ですが、ラジオと同じようなチューニング・ダイアルで無線局の周波数を選定します。
その時、ラジオであれば放送の内容を聴いてみて、所望の放送局かどうかが分かりますが、NDBの場合、音声は発信していませんので、代わりにNDBが発信する識別のためのモールス信号を聴いて、選択したNDB局が所望のものであるかどうかを確認するのです。

例えば、大島NDB。周波数は214KHz、識別符号XAですので、選局した後、-・・- ・- のモールス信号が発信されている事を確認するのです。
-400では、FMS CDUに214と、直接 周波数を打ち込んで選局するようになっています。そしてデコーディングという機能により、モールス信号を自動的に変換し、ND(Navigation Display)上に、XA と表示してくれます。

アルファベットの X は -・・- A は ・- と決められているのですが、どうやって決めたのでしょう?
適当に?なら逆でもよかったのかな?X を ・- として、A を -・・- としても。ヒントは、
E は / I は ・・ / T は
Q は --・- / Y は -・-- / Z は --・・

何か原則のようなものが見えてきましたね。そうなんです!ご存じの方も多いのではないかと思いますが、英文の中に頻繁に出てくるアルファベットほど短く打てるようになっているのです。
E を --・- などとしてしまったなら、文章の中に E が出てくるたびに長々と打たねばなりませんので、通信時間も長くなってしまいますよね。そんな事をやっていたのでは、戦争に負けてしまいます。
日本語(カタカナ)ではその事をまったく考慮していなかったので、送信に時間が掛かったとの話もあるようです。それで戦争に負けたのか!?


訓練生の時の授業では、モールス信号を聴いての書き取りも練習させられました。
最終的には1分60語ぐらいの書き取り速度まで行ったと記憶しております。
その時の先生は、むかし船の通信士をしていたという経歴の人でしたが、その人の話がまた面白かったのです。
なんでも、ベテランになるほど、モールス信号を聴いてから、紙に書き取るまでのタイム・ディレイが大きくなって行くと言うんですね!下手な人ほど、聴いた信号をすぐに書き取ってしまうらしい。どちらも意識してやっている訳ではなくて、自然とそうなるのだそうな。例えば INTERNET と送られてくると、
・・ -・ - ・ ・-・ -・ ・ - と聞き取れる訳ですが、ベテランの場合、最後の を聴きながら、やっと最初の I を紙に書き取っている。そんな感じになるのだそうです。
最初は、『本当かいな?』 と疑いました。しかし、練習して行くうちに、『成る程、この事か!』 と納得できるようになったのです。
最後の書き取り試験の時、こんな事件がありました。
先生が送信するモールス信号を紙に書き取っていたのですが、その時、鉛筆が折れてしまったのです!さあ大変。慌てて代わりの鉛筆を探しましたが、筆箱の中にあったのは色鉛筆のみ。そこで、その色鉛筆を取り出して書き取りを続けたのですが、その間 数秒、送信は何文字か先まで進んでますよね。
でも大丈夫。その間のモールス信号は頭の中に一時的にメモリーされていて、色鉛筆を手に取った後、ゆっくりと頭の中から取り出してきて、脱字する事もなく、追いつく事が出来たのです。

ベテランになればなるほど、頭の中の一時メモリーを、縮めたり伸ばしたりしながら、他の事に対応できるという訳なのです。誰かに話しかけられたりしても、まったく問題ないのです。訓練すれば、人間の能力って、どこまでも伸びるんですね。訓練あるのみ。

ところで、皆さんも覚えていた方が役に立つアルファベット。それは S ・・・ と O --- ですね。
部屋に閉じこめられたり、山で迷った時など、ハンマーや懐中電灯を使って ・・・ --- ・・・ SOS と送り続ければ、誰かが助けに来てくれるかもしれませんよ。
ただし、SOSはアルファベットを使っての遭難信号ですので、口頭で言う時は、「MAYDAY MAYDAY
MAYDAY」 となります。お間違えなきよう。

山で迷ったが、懐中電灯がない!こんな時に役に立つのが、携帯電話の液晶画面だそうですが、近くなら届くかもしれませんね。
コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 3

R-2

学生時代(30年以上前)に一度覚えたことがあります。
同期生に水産学校の通信科卒業生がいたので教えてもらいました。

街の看板をみてはモールスを打つ練習をして、一週間くらいで何とか送信はできましたが、受信はサッパリでした。

モールスの打ち方には結構個性がでるんですよね。
by R-2 (2009-06-05 21:27) 

FD

その先生も言ってました。人間の声と同じように、「打ってるのはあいつだな」 と言う具合に、相手が分かるのだそうです。
by FD (2009-06-06 09:20) 

4エリア

FDさんはじめまして。HPの頃より拝見しています。モールスは通信のプロの世界では、試験制度も含めてなくなったそうですね。最近30年ぶりにアマチュア無線を再開しましたが、受信については少しのリハビリで再生しました。最初の無線通信方式は、デジタルだったなんて面白いですよね。

VORとかILSの電波を受信すると、今でも変調音は聞こえますね。
これって識別に重要だと思うんですが、最近の(昔も?)パイロットはモールスを知らないのでしょうか?


by 4エリア (2009-06-06 22:25) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0